社会・地域文化学

社会・地域文化学プログラム

社会・地域文化学とは

社会・地域文化学プログラムは、社会学、文化人類学、民俗学、考古学、人文地理学、芸能論の6つの学問分野から成り立ち、幅広い視野から社会や文化を学べるところに特徴があります。

社会学は人と人との関係性に注目して、社会の現象を分析します。たとえば家族や地域の問題を調べ、よりよい関係の可能性を探究します。文化人類学は自分たちの見方を普遍的な尺度として異文化を見るのではなく、その社会固有の見方を知ることを目指しています。民俗学は世代を超えて伝承されてきた慣習や言い伝えなどから、わたしたちの生活文化の変遷や意味を考えます。考古学は人類出現以降を対象に、土器などの遺物、構築物の跡である遺構や遺跡から人々の営みを研究し ます。人文地理学は地形、人口、産業、交通といった視点から、地域の歴史や現在社会の問題を研究します。芸能論では 雅楽、能楽、歌舞伎などの古典芸能と、現在行われている民 俗芸能を、文献史料の解読と現地調査を通じて研究します。

研究の対象や資料はさまざまですが、いずれの分野もフィー ルドワーク(現地調査)を重要な研究方法と位置づけている点で共通しています。本プログラムでは、フィールドワークを重視した多彩なカリキュラムによって、多様な地域で展開してきた人々の営みを理解する力を養います。

社会・地域文化学で学べること

  • 地域づくりの社会学
  • 公共圏の構築
  • 現代社会における市民運動
  • 権力の社会学理論
  • 災害復興の地域社会学
  • 東アジアの市民社会
  • 家族の社会学
  • ジェンダーの社会学
  • 儀礼の解釈に関する人類学的理論
  • マスメディアの人類学的研究
  • 環境の民俗学
  • 新潟県の民俗文化
  • 水利慣行と村落
  • 縄文時代の狩猟採集社会の考古学
  • 考古学からみた日本古代国家形成過程
  • 古墳時代の豪族居館
  • 北アジア遊牧民の考古と文化
  • 絵図を考える・絵図から考える
  • 歴史地理学の潮流
  • 民俗芸能と年中行事
  • 日本の古典芸能

教員紹介

佐藤康行 SATO Yasuyuki (教授, 国際社会学・地域社会学)

少子化と高齢化がすすんでいることにくわえ、非婚化と晩婚化もすすんでいます。そして「ペットは家族」という意識をもっている人が多くみられるように、 血縁家族が家族であるという意識が大きく変化しています。また、人口が都市へと移動しているため、地方の人口減少が著しく地方経済が衰退しています。人口減少と高齢社会に対応した家族や地域社会、福祉社会の在り方について日本とタイをフィールドに調査研究しています。

渡邊 登 WATANABE Noboru (教授, 政治社会学)

専門は社会運動論です。研究室にこもって書籍と格闘するよりも、実際に地域社会で人々がどのような課題に直面し、それを解決しようとしているのかを、現場の人々にインタビューをしながら、明らかにするとともに、そのような営為が全体社会にどのような影響を及ぼし、または逆に制御されているのかを考えています。ここ数年は日本社会との比較の視点から、韓国に関心を強め、現場に足を運び、せっせとインタビューを行っています。

松井克浩 MATSUI Katsuhiro (教授, 社会学理論・災害社会学)

個人の自由を支えるような人と人とのつながりは、どうすれば可能になるのか。それを理論研究と地域研究の両面から考えています。理論の方は、M・ ヴェーバーをもとに、権力や秩序、コミュニケーションを成り立たせるメカニズムについて研究しています。地域研究では、中越地震・中越沖地震の被災者・被災コミュニティを調査して、被災地の再生や災害に強い地域社会のあり方、災害ボランティアの役割などについて考えています。

杉原名穂子 SUGIHARA Nahoko (准教授, ジェンダー論)

家族社会学、教育社会学、ジェンダー論を専門としています。女性と男性でどのような違いがあるのか、進学先や就職先の決定、子どもの教育に家族が及ぼす影響について研究しています。家族のあり方や子どもの進路選択は地域によっても違いますが、新潟県と首都圏との違いに主に焦点をあてて調査を行っています。近年、格差社会ということが話題になっていますが、子どもや親が抱く希望や意欲のあり方についても注目しています。

中村 潔 NAKAMURA Kiyosi (教授, 文化人類学)

インドネシア、バリ州東部の山村でフィールドワークをし、以来、この村の共同体儀礼を中心とした仕組みについて調べてきました。また、最近はバリ人が 発行する地方紙について調べていました。これからしばらくは、この村の共同体儀礼と慣習的組織の変容について現地調査を続けるつもりですが、それと関連して、儀礼の意味の生成や、説明と理解の問題、説明と権力の関係というようなことを理論的に位置づけたいと考えています。

飯島康夫 IIJIMA Yasuo (准教授, 民俗学・博物館学)

高校3年生のとき柳田國男の『一つ目小僧その他』を読んで、妖怪を真面目に研究する学問があることを知り、民俗学を学ぶようになりました。現在は、地域の中で少ない資源を分配するために人々がどのような社会的な決まり(ナ ラワシ・シキタリ)を作り、実際に運用してきたのかということを灌漑水利慣行を中心に考えています。また、地域の祭りを支える社会組織や、新潟県での 養蚕技術の展開過程にも関心を持って調査しています。

橋本博文 HASHIMO Hirofumi (教授, 考古学)

日本の古代国家形成過程を明らかにすべく、古墳時代の研究を行っています。最近まで、古墳時代の研究は時代名称となっている「古墳」の研究が中心でした。しかし、古墳に葬られた有力者の生前の活動拠点である「豪族居 館」が、わたしの郷里の群馬県で1981年に初めて発見されたのを契機に、 その種の居館研究に取り組んでいます。弥生時代の人とされる卑弥呼の居館が古墳時代のものではないかという疑いをもって研究を続けています。

白石典之 SHIRAISHI Noriyuki (教授, 考古学)

今から800年ほど前、ユーラシア大陸の東西にまたがる巨大国家となったモンゴル帝国と、その建国者チンギス・ハンについて考古学から研究しています。なぜ強大な国が誕生したのか、チンギス・ハンとはどういう人物か、いまだ謎に包まれています。それは文字資料(史料)にウソや誇張が多いからです。 そこで私は、彼の宮殿跡や武器工房跡を発掘し、出土した遺構や遺物など物質資料(モノ)から、その謎に実証的に迫っています。

齋藤 瑞穂 SAITOH Mizuho (助教, 考古学)

「日本って何だろう」ということを考えながら、弥生時代の人々について研究しています。教科書に出てくる弥生時代は、せいぜい九州地方と近畿地方の様子をとりあげた、列島弥生時代史の一面にすぎません。こんにちのような情報ネットワークがない2000年前、日本列島では各地で個性ゆたかな文化が育まれました。そんな時代の人々の生きざまを、空飛ぶ鳥の視点でアジアから、 地を這う虫の視点で新潟から、両面作戦で掘り起こそうと思っています。

堀 健彦 HORI Takehiko (准教授, 人文地理学)

人文地理学の中でも、歴史的な側面を重視しながら地理事象を考察する歴史地理学が専門です。最近は、明治期に作製された地籍図という資料を使って、歴史的な景観を精緻に復原する作業を佐渡島で行っています。また、近世会津藩が作成した『新編会津風土記』に記されている地理情報についてもGISを活用して分析を進めています。細かな作業の積み重ねですが、それらが組み上がって全体像が徐々に見えてくるのが醍醐味です。

中本 真人 NAKAMOTO Masato (准教授, 芸能論)

日本の古代から中世にかけての芸能を研究しています。平安時代の貴族たちは、和歌や書だけでなく、音楽や舞などの芸能にも通じていることが求められていました。貴族たちの芸能は、具体的にどのようなものだったのでしょうか。また彼らは、誰から、どのような方法で芸能を学んだのでしょうか。絵画や彫刻、文学などとは異なり、過去の芸能は一切形に残りません。その形に残らない芸能について、過去の文献と現代の芸能実演の両方を調査することにより、具体的に明らかにしたいと試みています。

研究紹介

社会学 Q&A

佐藤 康行 (教授)

エチゴさん「サドウ先生、進学する専攻を選ぶのに迷っているので、相談にのってください。先生の専門の社会学って何をするのですか?」
サドウ先生「近年、貧困や高齢者介護、差別、災害、過疎化などで多くの人びとが困難な生活を強いられています。こうした人びとの声は表立って発言することができないことが多いのです。表立って声に出せない声を聞いて社会に問題提起することは、社会学の大事な仕事です。」
エチゴさん「社会学は、どのような方法を用いるのですか?」
サドウ先生「調査の仕方は、直接インタビューしたり、質問紙を用いて調査し統計分析したり、行事に参加して観察したり、日常生活を共にしたり等、いろいろあります。こうしたあらゆる方法を用いて調べます。」
エチゴさん「社会学の特徴は何ですか?」
サドウ先生「社会学の特徴のひとつは、この多様な方法を用いることを挙げることができます。多様な方法で調べることはさまざまな視点からものごとを見ることになります。いろいろな角度から見ると、それまで常識と思われていたことがらも、そうではない異なる側面が見えてきます。一面的ではない理解をすることが大切です。」
エチゴさん「社会学を勉強すると何かいいことがありますか?」
サドウ先生「たくさんありますが、ひとつだけ言います。現代の社会はグローバル化や個人化がすすんでいるため、自分と価値観や生き方 が異なる人びとを理解することがとても重要になっています。その点、社会学は目の前にいない人びとに共感し理解する能力を涵養してくれます。現代社会を生きる上で大切な、他者を理解する能力を養うことができるというメリットがあります。」
エチゴさん「先生は何を研究しているのですか?」
サドウ先生「日本とタイの地域研究をしています。主に、住民がどのような地域づくりをしているのか、ということを調査研究しています。地域では政治も経済も宗教も福祉もあらゆる活動がありますので、あらゆる対象を調べる必要があります。タイは日本とたいへん異なりますので、そうした異質な社会を研究することは日本や西洋の社会を理解する上でとても役に立ちます。もっとも、タイを勉強したおかげでタイ化しましたけれど。(笑)」

失われた芸能を求めて

中本 真人 (准教授)

日本史の教科書を開いてみてください。

教科書には、政治や経済と一緒に文化の歴史も説明されているでしょう。どの時代も文学や美術、建築については、具体的な人物名や作品名をあげながら説明されているはずです。それでは教科書に、音楽や演劇、舞踊に関する記述はどれくらいあるでしょうか。具体的な作品名や曲名、人物名をあげて説明しているところは、どれくらいありましたか。--意外と少なかったのではないでしょうか。事実、現在の日本史の教科書には、芸能に関する記述が非常に少ないのです。しかしこれは、日本人が芸能を行ってこなかったことを意味するものでありません。

私の専門は芸能論です。特に日本の芸能史の研究に取り組んできました。平安時代の貴族社会では、みな子供のころから音楽・舞踊を学び、宮中の年中行事や宴などの場で披露していました。古文の授業で「あそび」は「管絃の遊び」だということを教わったかもしれません。平安時代に限らず、日本人の生活の中で大きな部分を占めていたのが芸能でした。一方、文学や美術などとは異なり、過去の芸能は一切形に残りません。もちろん録画や録音によってある程度記録することはできますが、録音・録画発明以前の芸能はもはや視ることも聴くこともできないのです。

私は、失われた過去の芸能について少しでも多くのことを知りたいと思い、これまで研究を重ねてきました。具体的には、過去の芸能に関する資料を分析するとともに、現在の芸能を調査することによって、過去の芸能を具体的に明らかにしようと取り組んでいます。私の担当する芸能論の授業では、新潟を中心とする芸能のフィールドワークを重視しています。教室や研究室の中での勉強だけではなく、現場で体験することにより、芸能の持つ魅力を肌で感じることを目指しています。

貴族の時代の管絃・舞楽や、武家社会で育まれた能・狂言、さらに町人文化に発達した歌舞伎・文楽、越後・佐渡地方を中心とする郷土芸能など、芸能論の対象はとても広い。魅力にあふれた芸能の世界を、みなさんものぞいてみませんか。

Student Voice

社会学を学ぶ

社会学 大石 未央

社会学ってどのようなことをするのか、皆さんは知っていますか? 私たちの身近には昔からの経験や価値観から構築された「あたりまえ」が潜んでいます。社会学ではこのような「あたりまえ」という風潮を疑い、現代社会における幅広い分野の問題について学んでいきます。その内容はジェンダーや若者、地域活性化など私たちの身近に存在するものなので、みなさんにとっても考えやすいのではないかなと思います。私たちのゼミでは、多文化共生や高齢者問題など今後私たちが避けて通れない社会問題を通して、論点や意見を出しあいながら自分なりの考えを持つことを意識しています。調査する中でインタビューをすることもあり、いろいろな人との関わりを通して学ぶことも多いのではないかと思います。みなさんの興味のあることを社会学の観点から考えてみませんか。

歩いて感じる「民俗学」

民俗学  石井 春奈

みなさん、大学では「民俗学」という学問が学べることを知っていますか? 何を学ぶのかよく分からないという人が、大半でしょう。民俗学とは、「私たちと同じような一般の人々が、日々の暮らしの中で受け継いできた生活文化全般」を扱う学問です。例えば、「妖怪って、なんだろう?」「ムラはどうやって運営されていた の?」「昔は誰とどんな風に結婚していたんだろう?」というように、研究の対象は多岐に渡っています。民俗学ゼミでは年に2回、泊りがけのフィールドワークに赴いています。文献を読んで研究するだけでなく、 実際に調査地を自分の足で歩き、その地域の方のお話を聞くことで初めて見えてくるもの・感じられるものが沢山あります。調査を進めるにつれ、地域の人々との距離も、共に実習をする仲間との距離も縮まっていき、そこで感じた人の温かさや繋がりは皆さんにとって忘れられないものとなるでしょう。時を超えて受け継がれてきた、「私たちの暮らし方」に少しでも興味を持っている方、一緒に民俗学を学んでみませんか?

モノから歴史を考える

考古学 落合 あづさ

皆さんは考古学と聞くとどんなことを思い浮かべるでしょうか。やはり発掘調査の印象が強いと思います。こう言うとなんだかよくわからない人もいるかもしれませんが、考古学は「モノを使って歴史を復元する学問」です。道具などのモノは時代や当時の環境によって変化していきます。その変化を利用して歴史を復元するのが考古学です。そのため、文字資料のない時代だけでなく、様々な時代を研究対象にできます。考古学 研究室ではモノから歴史を考えるための実践的な方法を学ぶことができます。それにつながるのが発掘調査で す。私達は毎年夏休みを利用して発掘調査を行っています。昨年度の新潟市東区牡丹山諏訪神社古墳の調査では、県内初となる円筒埴輪や須恵器などの貴重な資料が見つかっています。モノから歴史を考えるのは難しいことではありますが、文字資料から考える文献史学とは違った面白さがあります。興味のある方は是非考古学を学んでみませんか。

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