西洋言語文化学

西洋言語文化学プログラム

西洋言語文化学とは

本プログラムでは、ヨーロッパとアメリカを中心とする西洋の文化を学びます。文化の基礎となるのは言語ですから、まずなによりも西洋諸言語(英語、ドイツ語、フランス語、ロシア語など)の運用能力を身につけます。初歩から始めて少しずつ学習 し、各種語学力検定で高いスコアや上級の資格を取得できるまでに着実にステップアップしていきます。さらに、こうして身につけた言語運用能力を用いた西洋言語文化の学習・研究を通して、鋭い言語感覚と豊かな表現能力を養います。

西洋言語文化学の学習・研究領域はあまりにも広大です。 言語理論や言語学は言葉そのものの不思議を深く学び、研究します。文学史や文学理論は小説、詩、戯曲などを徹底的に読みこみ、人間の心理や物語の構造など、言葉で構築された複雑な世界の秘密を解き明かそうとします。さらに文学理論を応用すれば、文学以外のさまざまな芸術(音楽、美術、建築な ど)はもちろん、食、旅、ファッション、スポーツ、ポップ・カルチャーといった、私たち人間の生活に関わるあらゆる現象について考察し、理解を深めることも不可能ではありません。

日本語と外国語を自由自在に操り、自己表現ができるだけでなく、異国の文化を深く理解し、偏見にとらわれることなく海外の人々と交流できる、そして刺激的で豊かな人生をおくる。ーそんな未来の自分をイメージしながら、本プログラムで学んでください。

西洋言語文化学で学べること

  • ヴィクトリア朝の長篇小説
  • イギリス人の階級意識
  • アメリカの詩人とその作品
  • ドイツ・ロマン派文学
  • 庭園の文化史
  • ヨーロッパのオリエンタリズム
  • フランス象徴派以降の詩人たち
  • シャンソンとフランス文化
  • 絵画に隠された寓意
  • ロシアの民衆文化
  • ポストモダニズムの前衛文化
  • 語や文の組み立て方の法則性
  • 英語と日本語の比較研究
  • フランス語のしくみ
  • 資料を読む能力の拡大と深化
  • 西洋諸言語の運用能力の涵養

教員紹介

秋 孝道 AKI Takamichi(准教授,英語学)

理論言語学(生成文法理論)に基づいて、英語の文・句の構造に関する仕組み(統語論)や、英語の文・句の意味に関する仕組み(意味論)を解明する研究を行っています。また、英語と日本語の構造・意味の比較研究も行っています。しっかりした言語理論を想定して言語の研究を進めて行くと、「予測された事実が実際に存在する」ことを体験できることがあります。この「発見の興奮」を体験させてあげたいと思います。

平野幸彦 HIRANO Yukihiko(准教授,アメリカ文学・大学英語教育)

19世紀前半のアメリカの作家エドガー・アラン・ポーを中心に研究を進めています。また、英語教育における文学作品の活用法や翻訳論などにも関心があります。文学を始め、芸術を学ぶ意義は、異なる時空に生を享けた人々の想像力が生み出した偉大な作品から、21世紀の日本に生きるわれわれ固有の問題や、人間存在に普遍的なテーマを考えるための手がかりを得ることにあると思います。みなさんも、この汲めども尽くせぬ叡智の泉を探ってみませんか。

市橋孝道 ICHIHASHI Takamichi (准教授, イギリス文学・イギリス文化)

19世紀中頃に活躍したイギリスの文豪サッカレーとディケンズの作品を中心に、ヴィクトリア朝時代の文化全般についての研究も進めています。二人の作家は大英帝国の繁栄を様々な角度から描いており、類似点もあれば興味深い相違点も多く見受けられます。 近代文明の基礎が築かれていく時代に創作された彼らの作品には、そうした社会や文化に対する人間の詳細な心理を読み取ることができ、現代の私たちにも多く通じる部分があります。

土橋善仁 DOBASHI Yoshihito (准教授 英語学)

統語理論、そして統語と音韻の関係を生成文法の枠組みで研究しています。言語は、音と意味、そしてそれらを結びつける抽象的な構造(形態/統語)から成ると考えられています。音韻論や統語論の研究は、それぞれ別々になされることが多いのですが、総体としての言語の特性を見失わないようにすることも大切だと思っています。このような考えのもと、統語と音韻という二つの部門を関連づける演算の仕組みの研究をしています。

桑原 聡 KUWAHARA Satoshi(教授,ドイツ文学・ドイツ文化)

私の専門は、19世紀の初頭のドイツ文化、とりわけロマン派といわれる芸術です。19世紀初頭という時代は、現代の基礎をなす「近代」の始まりの時代にあたります。わたしたちが抱えている様々な問題が一気に吹き出した時代でもあります。この時代にあって、合理的なものに反撥してあらゆる神秘的なものに興味を抱いたこの時代の芸術を理解するためには、ヨーロッパ全体が新しい時代にむかって大きく動いていた状況のなかにドイツ文化を位置づけなければなりません。大変な仕事ですが、徐々に現代という時代の根っこが判るのはおもしろいものです。

吉田治代 YOSHIDA Haruyo (准教授 ドイツ文学・ドイツ文化)

19世紀末から20世紀前半のドイツの思想文化について,とくに異文化との関わりという観点から研究しています。非西洋への関心が高まったその時代に,危機と可能性を秘めた混沌とした文化運動が生まれましたが,そこには「グローバル化」と「文化」を考えるための手がかりがあると感じています。今後は,戦後まで視野に入れつつ,そして日本とも比較対照させながら,「戦争の世紀」をくぐり抜けたドイツ文化について,学生の皆さんと一緒に学んでいきたいと思います。

逸見龍生 HAMMI Tatsuo (准教授,現代文化論)

「光の世紀」と原語でいわれる新しい時代を求めたフランス18世紀の思想家たちの著作を主に研究しています。ゼミではフランス語文化のもつ魅力と奥行きを幅広くとらえます。フランス語をしっかりと身につけたうえで、作家のことばの一つ一つを正確に読み解いたり、歴史に散歩したり、芸術に結晶されたその美意識や感受性をあじわう。その世界は万華鏡のように多様で、深みがあります。フランス語圏の社会や文化の世界にわけいる楽しさ、ヨーロッパ、そして他の文明圏の伝統や現在と、精神的交流をする歓びを、ともに経験していきましょう。

駒形千夏 KOMAGATA Chinatsu(助教,外国語教育)

フランス語の授業を担当しながら、外国語教育について研究しています。フランスで行われている外国語教育と、日本での外国語教育との両方に関心があります。フランスでは第1外国語は小学校1年生から、第2外国語は中学校から習い始めるんですって。では問題です。一番人気のある第1外国語は何でしょう?答えは英語です(なーんだ!)。もう1つ問題。第2外国語として日本語は教えられているのかな?答えはOui!全国で2000人を超える人達が日本語を勉強していますよ!

鈴木正美 SUZUKI Masami(教授,ロシア文学・ロシア文化)

現代ロシアの詩、芸術、音楽が主な研究対象です。どのジャンルも密接に関連しており、日々新たな表現が生まれています。多彩な作品や表現を追う毎日は刺激に満ちていて、決してあきることはありません。どんなにつらいことがあっても酒とジョークで笑いとばし、芸術にどっぷり浸り、人生を最大限に楽しむのがロシア流なのです。哲学的な文学や難解な現代芸術作品から心躍るジャズやロックまで、幅広くロシア文化に関する授業を行っています。

アンニャ・ホップ Anja HOPF(准教授 教育支援センター/ドイツ語・ドイツ文化)

ドイツ語とドイツ文化の科目を担当します。もともとは日本語・日本文化を専攻し、特に日本のポピュラーカルチャーに興味があります。もっとも、授業ではドイツ語しか使わないようにしています(その方が学生の上達が早いのです)。ドイツ語外国語教育についても研究しており、ヨーロッパ言語共通参照枠に依拠した、国際的なレベルでも通じるドイツ語教育を目指しています。「ドイツ語は難しい」といった偏見はもう古い!ということで、皆さんには、ドイツ語文化圏の新たな魅力を発見してもらいたいと思います。

グレゴリー・ハドリー Gregory HADLEY(教授 英語教育の社会学)

21世紀のグローバル新自由主義の社会の中、学生をグローバル市場や企業の課題に対応させることが求められています。しかし、学生の知性を鋭くし、自分自身とは異なる人々や社会に対する見方を洗練させることのほうがより重要だと信じています。そのようなスキルを身につけた卒業生は地域社会と国際社会の両方に多大な貢献をすると思います。このような信念のもと教育研究を行ってまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

研究紹介

英語学の魅力の一つ:発見の興奮

秋孝道 (准教授)

私が専門とする「英語学」は、英語の語学的研究ではなく、理論言語学に基づいた英語の研究を指します。漠然としているので、具体的な例を用いて説明しましょう。なお、以下の考え方は、Jackendoffという言語学者が1972年に発表したものです。

皆さんは、副詞に関して、evidentlyなどの副詞は文を修飾し、completelyなどの副詞は動詞句を修飾することをご存じでしょうか?このことは、(1)と(2)の言い換え関係を考えると納得できると思います。これらの文修飾副詞と動詞句修飾副詞が現れることができる位置(○で表記)を調べてみると、(3)(4)の法則性があることがわかります。

ところで、文や動詞句がどのように組み立てられているのかという問題に対しては、(5)(6)のような提案がなされていました。そこで、「修飾表現は被修飾表現の内部に現れる」という原則を想定すると、副詞が現れる位置に関して、(7)(8)に示すような体系的説明が可能になります(文修飾副詞の被修飾表現は動詞句ではないので、動詞句内には現れないことに注意)。(3)(4)と比べて下さい。

さらに、このような仕組みを想定すると、(9)のような予測をすることができます。すなわち、これらの2種類の副詞が助動詞と動詞の間に現れる場合は、文修飾副詞+動詞句修飾副詞の語順になり、文末に現れる場合は、逆の語順になるという予測です。

Jackendoffは、この予測は英語の事実 と一致すると主張しています。将来、皆さんが英語学者になって、自分の分析の予測が英語の事実と一致することを発見したら、 すごいことですよね。これが「発見の興奮」(中島平三先生の著書(1995年、大修館 書店)からの借用)です。

(1) Evidently Frank is avoiding us. <=> It is evident that Frank is avoiding us.
(2) destroyed the machine completely <=> complete destruction of the machine
(3) 修飾副詞: 主語 助動詞 動詞… .
(4) 動詞句修飾副詞: 主語 助動詞 動詞… .
(5)[ [主語] [助動詞] [動詞句] ]
(6)[動詞句 [動詞]… 動詞句]
(7)[ [主語][助動詞][動詞句] ]
(8)[動詞句 [動詞]… 動詞句]
(9)[ [主語][助動詞]● [動詞句 [動詞]…● 動詞句] ● 文]

好きなことを続けていくこと

鈴木 正美(教授)

詩は難しくて分からないという人がいますが、しかし、詩は分からないからこそ面白い。その分からなさについて考えることが楽しい。詩的言語とは何か、詩を詩たらしめているものは何かということについて考えるのが私の研究です。

私の主な研究対象はロシアの詩、とりわけ20世紀から現代に至る詩です。そして詩と関連する美術と音楽の研究もしています。私は子どものころから詩と絵と人形が好きで、高校生の時は毎日のように詩を読み、絵本をながめ、美術館や映画館に通いました。大学でロシア語を学んでからはさらにロシアの詩を読み、様々な絵画や音楽に接しました。最近はロシアの人形劇もたくさん観ています。つまり私の研究は子どもの時から好きだったことをそのまま追いかけ続けてきているだけのことなのです。その結果が世の中の役に立つかどうかではなく、とにかく好きなことを深く探求していくとそれが研究になってしまうのです。

もちろん研究を深めるためには膨大な資料にあたらなければなりません。ロシアの文学や美術を研究するためには英語やロシア語だけでなく、独・仏・伊語の文献も読まなければなりません。私は必要にせまられてポーランド語とチェコ語も学びました。現代詩の場合、100部ほどしか出版されない詩集も多く、それらを八方手を尽くして探したり、貴重なジャズの音源をコレクターに頼んで譲ってもらったり、画家や音楽家に直接聞き取り調査もしています。

ロシアには多才な人が多く、画家でありながら詩もつくる人、詩人でありながら音楽との共演で朗読パフォーマンスをする人などがいます。また多くの詩人、芸術家、音楽家たちがお互いに交流し、一緒に仕事をすることで、また新たな表現が生まれています。そうした現場を観るために、私は毎年ロシアに行き、詩の朗読会、劇場、美術館、ジャズ・クラブに通います。

たった一編の詩を読み解くために、様々な資料の収集・解読、表現の現場の調査を続けることが私の研究活動なのです。

Student Voice

英語を通してみる世界

英米言語文化 今井 万由子

英米言語文化コースは、英語の音声・意味・構造を分析する英語学と、英語の原文を読み、文学の奥深さを感じるとともに、その裏にある社会や文化的な事柄を解釈する英米文学・文化という、主に2つの側面を持っています。英語学や文学は実生活に直接役立つものではないかもしれませんが、1つのことをとことん研究し、自ら学ぶ姿勢は大きな意義があります。私は、自分の英語力をより高め、様々な経験を通して自分を成長させたいと思い、新潟大学の提携校であるシドニー工科大学に1年間留学しました。そこでの学びによって英語力を確実に伸ばすことができ、視野が非常に広くなりました。自分の意思次第で英米言語文化学コースでは様々なことが研究できます。英語が好き、文学に興味がある皆さん、英米言語文化学コースでぜひ一緒により深く学んでいきませんか。

フランスの魅力、再発見

フランス言語文化 喜嶋 ひかり

みなさんはフランスと聞いて何を思い浮かべますか?パリ、エッフェル塔、ファッション……とにかくおしゃれなイメージを持っている人が多いのではないでしょうか。現在、私が所属しているフランス言語文化学コース(仏文)はみんな仲が良く、居心地のいい雰囲気で授業が行われており、絵画や詩、言語学などを学び、様々な視点からフランス文化を見つめることができます。文を読むのは難しく思えますが、フランス語は音の響きがとても美しくすぐに惹かれてしまいます。また、人文学部はフランスと交換留学を行っており、私も今年からボルドーへ留学します。留学生とも交流することができ、フランスのリアルな話も彼らから聞くことができます。日常生活の中で、これもフランス語だったのか!という発見もあり、面白いです。みなさんもフランス語を学び、今まで知らなかったフランスのより深い魅力に触れてみませんか?

魅惑のロシア

ロシア言語文化 横澤 勇輔

大学入学時、ただめずらしいという理由でロシア語を選択しましたが、まさか留学するほどロシアにハマるとは思ってもみませんでした。ロシアといえば寒い、広いというイメージが先行しますが、バレエ、音楽、文学に代表される非常に洗練された芸術文化をもっています。留学先のサンクト・ペテルブルクでは、エルミタージュ美術館や劇場に頻繁に通い、一生分の芸術を堪能できたと思っています。ロシアの豊かな文化を理解するのにロシア語の学習は欠かせません。新潟大学にはレベル別のロシア語の授業があり、ロシア人留学生と交流する機会もあるので、学習する環境は整っています。奨学金が支給されるのでその気になれば留学も難しくありません。ロシア語は英語とは異なる文法、音の響きをもち、皆さんにとってきっと新鮮に感じられると思います。人文学部で何を学ぶか迷っている方は、ぜひロシア語を選択し、奥深いロシアの世界を覗いてみてはいかがですか。

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