人文学部学生プロジェクトインタビュー「齋藤瑞穂」

日時:2015年10月28日16:30~18:00
場所:総合教育研究棟A148
インタビュアー:有賀大尊、中村一稀
インタビュイー:齋藤瑞穂先生(社会・地域文化学主専攻プログラム助教)

学生 はい、それではインタビューの方を始めさせていただきたいと思います。

学生 まず、先生の研究内容について質問させていただきます。

齋藤先生の研究内容について

齋藤 日本の弥生時代を研究しています。弥生時代の人たちがどういう人たちかを研究しています。

学生 土器などを発掘されたりするのですか?

齋藤 うん。(インタビュアーの有賀君が専攻する)言語学ではなじみがないかもしれないんだけど、例えば歴史学の場合だと、歴史の流れを見ようと思ったときに、いろんな手紙や文書を、これは1920年に書かれたもの…これは30年に書かれたもの…って並べる。順番に整理していったら、どんな順番で何が起こったか、流れがつかめるよね。でも、考古学で扱う対象って何も書いてないから、どれが新しくてどれが古いのかすらわからない。それを順番に並べていく作業を通して、弥生時代はまずこういうことが起きて、次にこういうことが起きて、この辺りで緊張関係が生まれて、卑弥呼が出てきて…っていう流れをようやく把握できるわけ。その作業をするのに使い勝手が良いのが土器。土器を使って弥生時代を整理するって感じかな。

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興味・関心のある分野

学生 もともとそういう分野に興味・関心があったんですか?

齋藤 考古学か歴史学をやろうと思って大学に入ったんだよね。だから、考古学だけ、っていう感じで入学したわけではなくて、東洋史・日本史にも興味あったんだ。だってシミュレーションゲームってやるじゃない? 今もあるだろうけど、「信長の野望」だったり「三国志」だったり、私も皆さんと同じようにやってきたから。でも、入学してすぐのゴールデンウィークに発掘実習に行って、考古学楽しいな、発掘楽しいなって。あとは考古学にのめりこんでいったかなあ…。まあ正直に言えば、他にも興味のあった東洋史は単位を落としてしまって進めなくなって、結局考古学しか道はなくなった、って感じ。

学生 考古学って発掘以外にどんなことをされているのですか?

齋藤 世の中には、昔の人が掘り出してそのままになっているものとか、普通に畑を耕していたら出てきちゃったものが旧家に保管されていたりする。そういったものの中にも重要な資料があるから、整理して大きな歴史の流れに位置づけていくってことをやるし…、意外なところだとお墓を測ること。佐渡とかには福井の石をわざわざ運んで作った中世のお墓があったりします。一人で薄暗い墓地に行って、そんなお墓を測ったりしてますよ(笑)。

学生 これまでの経歴について、影響を受けた本や人物はいますか?

齋藤 影響というか、決定づけたのは、東洋史の単位を落としたことかな(笑)。でも、まあ、小学校の時に近くで発掘をやってて、それを楽しそうだなって見てたこともあったんだけど、楽しいと実感したのは大学の最初の実習の授業で、青森県の弥生時代の遺跡に行って発掘したこと。そのとき東北の弥生時代の勉強を始めて、そのまんま勉強続けてるって感じかな。

学生 青森の遺跡って…

齋藤 三内丸山遺跡とかが有名だよね。

学生 そういうところですか?

齋藤 ううん。そんな有名どころではなくて、下北半島の最果て感あふれる所だったんだけれども…。(資料を出してくれる)

齋藤 高校までの教科書に出てくる弥生土器って、表面がなめらかなイメージがない?弥生時代の遺跡だって言うから、そういうのが出るんだろうって予想して発掘に行く。そしたら全然違うのが出てくるんだよね。弥生土器なのに、縄文土器と同じように縄文がついてて、先生や先輩がそれも弥生土器だと教えてくれるわけ。
 習ってきたのと全然違うぞ?、縄文土器みたいでも弥生時代なの?、って。そこからまず分からない。その驚きが、考古学にはまって、弥生時代を勉強しようってなった大きい理由かな。

学生 大学時代って他の時代とかも勉強なされていたんですか?

齋藤 学生時代は東北の弥生時代を主に勉強していたけど、だいたい人間って一つのことだけじゃ飽きるじゃない?関東の大学だったから、関東のことも勉強しました。卒業したあとは九州で2年間勤めてたから、その時に九州の弥生時代を勉強したし、韓半島にも行く機会があったから、そっちも勉強。新潟来れば、じゃあ新潟の弥生時代はどうなんだろうっていう感じで、新潟の勉強を始める。今度は弥生時代だけじゃなくて、中世にチャレンジしたり、近世をやってみたり。

学生 弥生時代を選んだ理由は?

齋藤 さっき言ったとおり最初に発掘したのが弥生時代だったから、その流れで(笑)。

学生 先生自身の学生生活についてお願いします。

齋藤 みんなと変わらないと思いますよ。授業もさぼったし、アルバイトもしたし。宅飲みとか、普通の学生生活を送りました。違う点を挙げるならば、発掘のアルバイトをやったこと。夏休み2か月間ずっと発掘やったことぐらいかな。

学生 いつ大学の先生になろうと思ったのですか?

齋藤 大学の先生、というより研究していこうと思ったのは3年生ぐらい。考古学って特に自分で掘り出した資料で歴史を組み立てるから、自分で歴史を作るって魅力的だな、って思ったのね。もちろん発掘は大変だけど、考古学って新陳代謝が激しくって、去年までの定説が1つの遺跡でガラッと覆ったりするから、それも魅力だし。自分で1つずつ歴史を組み立てていくのが楽しいなって思い始めたのが3年生の時だね。

学生 それまでは大学院に行きたい、就職したいという希望はありましたか。

齋藤 大学院に行こうって思ったのも、3年生。3年生の時に、考古学の魅力がわかってきて、よし!このまま続けていこう、大学院に行こう,って決めた感じです。

講義内容について

学生 担当している授業は何ですか。

齋藤 今年は日本原始社会論と考古学実習を担当しています。日本原始社会論は、毎年テーマが違うんだけど、今年は考古資料のどういった点に注目すればよいか、何に注目すればどういう歴史が組み立てられるか、という話をしました。実習は、発掘したり測量したり、出てきた土器なんかを歴史の資料として使えるようにする方法を学ぶ授業。

学生 授業内で意識していることはありますか。

齋藤 自分の意見を押し付けないこと。齋藤はこう思ってるけど、こう考えている人もいる、っていう話し方をすることを心掛けています。「こうです」っていうのは高校までの授業であって、大学はそうではないからね。自分ならこう思うな、って考えることができるように意識してるかな。

学生 最後に考古学を目指す高校生に向けてメッセージをお願いします。

「高校生に向けてのメッセージ」

齋藤 大学に来るからには、「もと」を取ってほしいんだよね。今、学費いくら?

学生 1年で58万ほどですかね。

齋藤 そうすると、4年間で最低230万かかるよね。大学で何かをしなければいけない、と言うわけではないんだけれど、230万の投資をして「もと」を取ったなと思うような毎日を送ってほしいなって。逆に「もと」が取れないって思ったら、大学なんて居続ける必要がないと思うんだ。たまに違和感を感じるのは、「大学で一生の友達を作ろうと思います」ってぬかすヤツがいるけど、私は気に入らないんだよねえ。230万かけてそれやるの?って。そうじゃなくて、自分はこうだっていうのをつかむ。自分ができなかったことをできるようにする。230万を無駄にしない選択として大学を選んでほしいな。

齋藤 私も大学生活を真面目に送ったわけではないけど、話をするの下手だなとか、文章書くの下手だなって思ってたから、例えばゼミでも半期に2回か3回発表することあるよね? 2年生の基礎演習なら前期2回、後期2回。3年と4年をあわせて12回くらいはあるじゃない。その1回1回を案外大事にしていたかな。人にどうしたら伝わるかな…って、失敗してもいいから、今回はこうやってみようとかって。レポートも、こう書けば伝わるかな…っていう感じで、文章を書く訓練の機会として大切にしてました。

学生 本日はインタビューありがとうございました。

インタビューを終えて

大学で「もと」をとるという言葉が一番印象的でした。大学生活を有意義に過ごさなければという気持ちになりました。


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