2017年度阿部賞授賞式

投稿日:2017年11月08日

2017年度第12回「新潟大学人文科学奨励賞阿部賞」授賞式は、創設者阿部洋一氏ご臨席の下、9月27日に人文学部長室において執り行われました。今回の受賞者は人文学部渡邊登教授でした。渡邊教授は政治社会学がご専門ですが、本年佐刊行されたご著書『「核」と対峙する地域社会 巻町から柏崎刈羽。そして韓国へ』(リベルタ出版、2017年3月)に対し、贈られました。人文学部研究推進委員会の選考理由は以下の通りです。

この著作は、著者の多年の社会学的調査・考察に基づいて、ローカル、ナショナルのみならずグローバルレベルでも「原発維持」「脱原発」に様々揺れ動く福島第一原発事故以降(=ポストフクイチ)の現状において、原発政策は変容しつつあり、これまでとは根本的には異なる思想のもとでの社会構想が求められていると看取し、この社会構想への回答=ポスト「原発依存」社会に向けた地域公共圏構築の可能性を、仮説的に提示したものである。本書がとくに優れる点は、長期に亘る調査にもとづいた以下のような事例研究の積み重ねにより、上記の仮説を説得的に組み立てていることである。すなわち、直接的に国のエネルギー政策、原発政策の変容に直面し、その課題に対して最も直裁的な形での対応(原子力発電所の受け入れ)を迫られた新潟県旧巻町の事例、次に、高中低レベル放射性廃棄物処理場建設計画に直面した韓国全羅北道扶安郡の事例、そして、これら日韓両事例の比較検討、さらにまた、両事例を参照点とした、原発事故以降の原発立地域(柏崎市・刈羽村)及び周辺地域(新潟市・長岡市)住民の生活意識、生活構造、社会構造(社会関係)の変容とそれに裏付けられた取り組みの描出、こうした豊かな事例研究において本書は他書を凌駕している。

 

歴代受賞者

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