ロールシャッハテストはまちがっている -- 科学からの異議
What's Wrong with the Rorschach? -- Science Confronts the Controversial Inkblot
Test
ジェームズ M. ウッド,M. テレサ・ネゾースキ,スコット O. リリエンフェルド, ハワード N. ガーブ (著)
宮崎謙一 (訳)
北大路書房 ; ISBN: 4762824836 (2006)
353ページ
目次
日本語版への序文
第1章 心を映すエックス線: ロールシャッハテストの威力
ロールシャッハ・スコアの目隠し分析
思考の障害
重いうつ病
対人関係の問題
このロールシャッハテストの結果は正しいか
思考の障害
重いうつ病
対人関係の問題
はずれと当たり
ロールシャッハテストと子どもの性的虐待疑惑
虐待の疑惑
ドナルドとローズの心理判定
心理判定の影響
この事例の真相
ロールシャッハテストの秘密
本書の目的と構成
各章の内容
本物の図版は本書にはない
第2章 テストの誕生: ロールシャッハ・インク図版テストの始まり
クレクスと彼のインク図版テスト
図版の誕生
初期のスコアリング・カテゴリー
『精神診断学』の出版
ロールシャッハの中心的考え: 運動,色彩,体験型
運動反応
色彩反応
内向と外拡のバランス: 体験型
運動,色彩,体験型は星占いのようなものにすぎないか?
内向性と外向性についての現代の見方
パーソナリティの指標としての運動反応と体験型
パーソナリティの指標としての色彩反応
すぐれた科学者でもまちがうことはある
ロールシャッハテストのその他のスコア
研究者としてのロールシャッハ
グループ研究と数量化
まちがいの源
第3章 ロールシャッハテスト,アメリカに渡る
アメリカにおけるロールシャッハテストの先駆者たち: ベック,ハーツ,クロプファー
ロールシャッハテストの伝道者
サミュエル・ベックとマーガレット・ハーツ
まとめ役: ブルーノ・クロプファー
ロールシャッハテストの魅力
若い専門分野としての臨床心理学
自己報告式パーソナリティ検査に対する不満
ロールシャッハテスト以前: アメリカの心理測定アプローチの始まり
アルフレッド・ビネと最初の現代的な知能検査
ヘンリー・H・ゴダードと知的劣等の脅威
1920年代の知能検査批判
IQ検査からの教訓: 心理測定/心理測定の典型例
ベックとクロプファーの間の亀裂
心理測定に対するブルーノ・クロプファーの抵抗
『ロールシャッハ研究報告』における議論
ベックとクロプファーを離反させた具体的な問題
マーガレット・ハーツと分裂
テストについての新しい考え方
臨床的妥当化
布置解釈
ロールシャッハテスト名人
投影仮説
第4章 ロールシャッハテストの絶頂
なぜロールシャッハテストは1940年代に急にブームになったのか
ロールシャッハテストに関する本と論文
熱心な推進者たち
精神分析の影響の増大
1940年代における臨床心理学の変質
第2次世界大戦と臨床心理学者
戦後の精神医療サービスの需要と臨床心理学のニューフェース
科学者と実務家,経験主義者とロマン主義者
WAISとMMPI/新しい権威の象徴
投影法の大行進
絶対にはずれない驚くべきロールシャッハテスト
目隠し解釈とロールシャッハテスト名人
投影法の高い増殖率
第5章 どれを選んだらよいのか: ロールシャッハテスト流派の乱立
ロールシャッハテストのサイン解釈法
ロールシャッハテストに対する内容解釈法
ロールシャッハテストに対する内容解釈法と構造解釈法
父親カードと母親やカード,さらにその他に…
ロバート・リンドナーの43の内容反応
フィリップスとスミス
フィリップスとスミスに対する反応
新しいロールシャッハテスト解釈法
ジグムント・ピオトロウスキと知覚分析
デーヴィッド・ラパポートと自我心理学,逸脱言語反応
エヴァルド・ボームとヨーロッパのロールシャッハの伝統
高齢になった開拓者たち: ベックとクロプファー
1940年以後のサミュエル・ベック
1940年以後のブルーノ・クロプファー
第6章 科学者たちがロールシャッハテストを吟味する
全体解釈の失敗
パイロット訓練と臨床心理学訓練における成功予測
心の問題と心の病気の判定
他の情報といっしょにロールシャッハテストを用いる: 何か価値あるものが付け加わるか?
肯定的な知見: 精神病の診断とIQの推定
予想外の問題の表面化
R問題
ロールシャッハテストは対人場面である
色彩ショック
肯定的にみえる知見
第7章 ロールシャッハテストの危機
臨床的妥当化の錯覚
確証バイアス
相関の錯覚
ロールシャッハテスト名人,占星術師,読心術師
いくつかの単純なトリック
バーナム効果
占い師と心霊療法家
ロールシャッハテスト名人: 3つの説明
コールドリーダーとしてのロールシャッハテスト名人
集中砲火を浴びるロールシャッハテスト
リー・J・クロンバック: 支持者が批判者になる
マーガレット・ハーツ: 批判的な支持者
心理測定年鑑の批判者たち
ロールシャッハテストは次にどこへ
昔からの信者たち
ロールシャッハテストを拒否する: 行動主義とコミュニティ心理学
ロールシャッハテストに代わるもの: ホルツマン・インク図版テスト
ロールシャッハテストの改変: 古いテストに対する新しい方法
第8章 よみがえったロールシャッハテスト: ジョン F. エクスナーの包括システ
ジョン・F・エクスナーとロールシャッハ包括システムの考え方
初期の経歴
『ロールシャッハ法』とロールシャッハテスト使用者の調査
方法の統一
実施法
基準
スコアリング信頼性
再検査信頼性
古いスコアの最良のものを残す
エクスナーの新しい指標
包括システムの大成功
臨床心理学の変質
賞賛と人気: 1980年代と1990年代の包括システム
新たな機会と栄誉
第9章 包括システムの真相
初期の警告サイン
ロールシャッハ・ワークショップの未公刊の研究
問題を投げかける学位論文
包括システムをめぐる論争
スコアリング信頼性: 心理学者はどのくらい一致するのか
依然として過剰病理化が行われる: 包括システムの基準
本当は何を測っているのか: 妥当性の問題
第10章 それでも救世主を待ち望む: ロールシャッハテストの未
ロールシャッハテストの何がまちがっているのか
検査技法としてのロールシャッハテストの失敗
「ロールシャッハ・カルチャー」の問題
批判を無視して攻めに出る
パーソナリティ・アセスメント学会
アメリカ心理学会
ロールシャッハテストと公共の利益
ロールシャッハテストと子どもたち
ロールシャッハテストと司法システム
ロールシャッハテストと管理医療
心理学者への提言
臨床実践におけるロールシャッハテスト
大学院でのロールシャッハテスト訓練
第11章 難破船にしがみつく: なぜ心理学者はあきらめないのか
論理と経験の落とし穴
権威を信じる
社会的確証
臨床的妥当化と証言
逸話的証拠
生々しい個人的経験
認知的錯覚
強化
自己一貫性
代わりになるものがないこと
社会的役割要請
ロマン的な伝統
信仰を守る: パーソナリティ・アセスメント学会からの最近の一例
第12章 裁判官,異議あり!: ロールシャッハテストを法廷から閉め出
司法場面におけるロールシャッハテスト: 張り子の虎?
司法場面におけるロールシャッハテスト: 基本的問題
ロールシャッハテストは科学的に賛否両論がある
ロールシャッハ・スコアのほとんどすべてが確かな妥当性を欠く
ロールシャッハテストは正常な人を病気のようにみてしまうことが多い
ロールシャッハ・スコアは矛盾することが多い
多くの重要なロールシャッハ変数のスコアリングは十分な信頼性を欠く
ロールシャッハ・スコアは状況要因と検査者効果を反映することがある
ロールシャッハテストを用いる心理学者は標準的手順を守らないことが多い
ロールシャッハテストをごまかすことができる
法的許容性: ロールシャッハテストとドーバート
ロールシャッハテストを使うつもりの心理学者に対処する
心理学者の倫理とロールシャッハテストの使用
エピローグ ロールシャッハテストは永遠か
付録
註
引用文献
人名索引
項目索引
著者紹介
訳者後書き