新潟大学人文学部

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シンポジウム「『平家物語』の芸能と佐渡 ―うたいもの・かたりものの世界―」が盛況のうちに開催

掲載日:2024年11月05日

令和6年11月3日(日)、佐渡市の新穂トキのむら元気館で、新潟大学人文学部主催、佐渡市教育委員会共催のシンポジウム「『平家物語』の芸能と佐渡」が行われました。本シンポジウムは平成22年に締結された連携協定に基づき、佐渡市内の研究成果を広く市民に共有するための取り組みです。

会場(新穂トキのむら元気館)
会場(新穂トキのむら元気館)

今回のテーマは『平家物語』と佐渡。『平家物語』は「祇園精舎の鐘の声」という冒頭はもちろん、琵琶法師によって語られたことでも知られます。今回のシンポジウムでは、講演だけでなく、平家琵琶の実演も行われました。

(開会の挨拶(松井学部長))
(開会の挨拶(松井学部長))

講演の1つ目は、本学部の中本真人准教授による講演「「相川音頭」の「源平軍談」と芸能」でした。佐渡民謡「相川音頭」では、現在「源平軍談」の「義経の弓流し」が広くうたわれます。講演では、その歌詞を読み解きつつ、『平家物語』はもちろん、能楽や浄瑠璃、歌舞伎の台本の影響を受けている事実が明らかにされました。

(中本真人准教授講演)
(中本真人准教授講演)

講演の2つ目は、共立女子短期大学の菅野扶美名誉教授による講演「『平家物語』と『梁塵秘抄』」でした。『梁塵秘抄』は、後白河院がまとめた今様の歌謡集です。講演では『梁塵秘抄』が紹介され、『平家物語』との関係が説明されました。さらに今様の歌詞を取り上げつつ、その文化史的意義も指摘されました。

(菅野扶美名誉教授講演)
(菅野扶美名誉教授講演)

実演では、平家琵琶奏者でもある鈴木孝庸名誉教授が『平家物語』「弓流」を披露しました。琵琶の音と共に「弓流し」の物語が会場に響き渡り、来場者全員がその音色に聞き入りました。

(鈴木孝庸名誉教授による『平家物語』「弓流」の実演)
(鈴木孝庸名誉教授による『平家物語』「弓流」の実演)

会場には、定員を超える110名の来場者がありました。講演・実演のあとはパネルディスカッションが行われ、会場からは多くの質問や意見が出ました。また全体の司会は、本学大学院現代社会文化研究科博士前期課程1年の小澤ゆいさんが担当しました。

(閉会の挨拶(香遠佐渡市教育委員会教育長))
(閉会の挨拶(香遠佐渡市教育委員会教育長))

人文学部と佐渡市教育委員会では、来年度も佐渡学セミナーとシンポジウムを予定しています。次回も奮ってご参加いただきますようお願いいたします。(文責:中本真人)

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