新潟大学人文学部

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青木要祐著『海峡を越えた旧石器人類―東北日本における細石刃石器群の技術と石材の変化』刊行

掲載日:2025年06月24日

青木要祐著『海峡を越えた旧石器人類―東北日本における細石刃石器群の技術と石材の変化』が、人文学部の研究叢書として知泉書館より刊行されました(出版社の紹介ページ)。本書は、筆者が学生時代より研究テーマとしてきた、約2万~1.5万年前の北海道および本州東北部に居住した人類の移住・活動を、考古学・岩石学的観点から考察するものです。

現在、本書のフィールドとなる北海道と本州東北部は津軽海峡で隔てられていますが、後期旧石器時代(約3.8万~1.5万年前)も同様でした。現代でこそ鉄道やフェリー、飛行機によって安全に往来できますが、これらの交通手段が発達していなかった時代に渡ることは、かなりの困難だったことでしょう。しかし、後期旧石器時代後半期に、北海道から本州へ南下した人類集団がいました。これが本書で扱う、細石刃(さいせきじん)石器群を残した集団です。

本書では、この人類集団について、彼らがのこした石器の作り方や、石器に用いられた石材について研究を進めました。石器の研究では形態の計測・比較や顕微鏡観察を行い、石材の研究では石器の元素分析を実施しています。

本書は津軽海峡をテーマとしたものですが、新潟県にも本州と佐渡島を隔てる佐渡海峡があります。筆者は佐渡海峡を越えた人類の移住と交流にも関心を持っており、研究を進めているところです。今後も、両地域の調査研究を進めていきます。

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